医師をターゲットにマーケティングやセールスを行う際には、顧客である医師のことを知っておく必要があります。ですが、自身が患者として医師と接することはあっても、プライベートのことはなかなかわからないのではないでしょうか。
そこで、この記事では医師のタイプに関して解説します。
1.医師のタイプ分け
医師はいくつかの切り口でタイプ分けすると理解がしやすいでしょう。
分け方はいくつかありますし、呼び方も人によって様々ありますので、厳密に分けることは難しいのですが、ここでは、マーケティングの参考になるようにざっくりと分けていきます。
(1)研究医と臨床医 -専門性による分け方-
医師には研究を中心に仕事をしている研究医と、臨床(診察や治療)を中心に仕事をしている臨床医に分けられます。
研究医は、大学医学部の医局に席を置いて研究に取り組みながら、系列の病院で外来や手術、入院患者の回診などを兼務している医師がほとんどです。このように研究室に残る医師は教授のもとで研究成果を出していくことが求められます。『白い巨塔』を思い出す人も多いでしょう。
臨床医は、自分が志す専門の科目で外来や手術など治療を中心として腕を磨き、その道のプロとして専門医などを取得し、研究というよりは臨床の道を究めていく医師です。勤務医でも開業医でも実際に患者の治療を専門に行っている医師は臨床医と呼ぶことが多いです。
(2)勤務医と開業医とフリーの医師 -所属先による分け方-
別のタイプ分けとして、所属先によって分類することができます。所属先には、病院、診療所、企業、行政、開業独立、フリーランスなどがあります。
病院の職員として所属し、患者の治療を担当している医師は勤務医です。病院には公的なものと民間があり、公的病院の職員は公務員です。また、病院以外でも診療所や健診センターに雇われている医師は勤務医と言えます。大企業の保健を担当する産業医もいますし、厚労省の医療介護を担当する部署や自治体で働く医官もいます。
そして、勤務医を辞めて独立し、自分のクリニックを開業した医師を一般に開業医と言います。稀に、自身のクリニックは開業せずにフリーランスとして活躍する医師もいます。
近年では、勤務医を辞めて臨床はせずにビジネスを立ち上げ起業家として自己実現を目指す医師も目立つようになってきました。
2.病院勤務医と開業医との違い
次に、これらの医師タイプ分けに基づいて、病院勤務医と開業医との違いを比較してみると下表のようになります。
まず母数から見ると、勤務医は全国で21.6万人。開業医は10.7万人です。平均年齢は、勤務医が45.1歳、開業医が60.2歳。平均年齢は近年、上昇し続けています。
プライベートの時間は、勤務医はほとんどなく、開業医は自分の時間が取れます。弊社が行った開業医アンケートでは、開業の理由の一つに、自分がコントロールできる時間の確保というものが上位に挙げられていました。
そして、おおよその年収については、勤務医は1,500万円前後、開業医は3,000万円前後と言われています。ただし、病院や診療所の収益状況によって、かなり変動しますので、あくまでざっくりとした目安と思ってください。
このように見ていくと、勤務医よりも開業医のほうが、断然、自由な時間と資金力を持ち合わせていることがわかります。
3.ライフステージごとに異なる医師が置かれた状況
さて、マーケティングを成功させるには、「タイミング」も見逃せません。
自由に使える時間やお金は、それぞれの医師のライフステージによって異なります。
(1)医学部受験から開業医になるまで
医師が医院開業するまでには、長い道のりがあります。高校時代から受験対策に挑み、医学部に入学。ストレートであれば、24歳に医学部を卒業し、医師としての研修が始まります。過酷な研修過程を経てようやく30歳前後で勤務医として活躍。専門的な経験や知識を蓄え、早い人では、40歳前後に開業します。病院の状況によっては50歳頃まで勤務医を続ける医師もいて、そういう方は50歳頃から独立開業ということになります。
(2)開業医になるまでに必要な自己資金
開業医になるためには、開業するまでに開業資金を貯めておくことになります。もちろん、今の時代では、20代から積極的にお金を投資して増やすという医師も多くいますが、それも将来へ向けての準備ですので、開業するまでは財布の口は堅いと見たほうが良いでしょう。若い世代の医師は、消費よりも将来に向けた投資にニーズがあります。
開業する診療科目によって必要な開業資金は異なりますが、開業は銀行や信用金庫の融資がつきますので、自己資金は2,000~5,000万円で開業できると言われます。
(3)開業してから自由を得るまでの期間
ただ、開業してすぐに黒字になる診療所は少ないのが現実で、単月黒字化の実現には約1年くらいはかかります。開業初期は単月黒字化に寄与する提案が必要です。その後、患者数が順調に伸びていくと、累計黒字が見えてくるため、開業医として次の展開を考えたり、プライベートの充実を図ったりと、自己実現へと向かっていきます。
4.マーケティング成果を最大化するためにはターゲットを絞る
これまで見てきたように、医師といっても様々な状況を抱えており、人生のライフステージに当てはめてみても、一様でないことがお分かり頂けたのではないでしょうか。
マーケティングの成果を最大化するためにはターゲットを絞る必要があります。
電話帳を上から順番に当たっていくようなやり方は通用しません。
医師の中でも「購買力のある」医師を絞り込む方法はこちらの記事から。
弊社が提供する「開業医リスト」は、ある程度、ターゲットを絞ることができるマーケティングリストです。次の記事では、開業医リストを使ってターゲットを絞る方法について解説しますので、参考にして頂ければ嬉しいです。